評価の属人化と採用スピードが大きな課題に
2024年6月にエンジニア採用の担当となった当初、採用プロセスにはいくつかの課題がありました。開発全体を見ている立場の大石が、スキル評価から面接までを1人で担当しており、採用業務の負担が大きくなっていました。また、選考では応募者にWordで課題を送付したり、面接時にライブコーディングを実施したりと、プロセスも長くなりがちでした。

もともとの採用フローは、人事での書類選考と会社説明会を実施。その後、大石との面談を経て、スキル面接に進む形でした。スキル面接の前に課題をWordで送付して回答を求めていましたが、課題の作成から送付、評価まで、相当な時間がかかっていましたね。
とくに悩ましかったのが、競合となる国内外の企業との採用スピードの違いです。2024年は半年で4名の採用を目指していましたが、実績は2名。スピーディーな採用活動ができないことで、優秀な人材の獲得機会を逃してしまうケースも少なくありませんでした。
また、面接時にLeetCodeを使用したライブコーディングを行っていた時期もありましたが、ここにも課題がありました。英語のみの環境だったため、問題文を読むこと自体が大変な応募者もいました。
また、面接でいきなりコーディングをお願いすると、普段は十分な実力がある方でも、決められたインプット・アウトプットの形式に慣れていないことで実力を発揮できないケースが多かったんです。
面接時間を本質的な対話に活用できるように
コーディングテストツールの導入を検討する際は、初期費用やランニングコストはもちろん、提供される機能面もしっかり確認しました。特に利用者数に制限がないことは、将来的な評価体制の拡大を考えると大きな決め手でした。
導入後は、会社説明会を経た応募者に人事からURLを送付し、1週間以内に受験してもらう形に変更。スキル面接の日程調整も同時に行うことで、選考のスピードアップが実現しました。面接の質も大きく向上しました。現在のスキル面接では、15〜20分程度でコードの確認と深掘りを行い、残りの時間で技術的な考え方やキャリアビジョンについて話し合います。

とくに重視しているのが、問題への理解とアプローチの仕方です。実際の開発業務では要件を正確に理解し、それを適切な実装に落とし込む力が重要になります。スキル面接では、コードを見ながら「なぜこの実装方法を選んだのか」「他のアプローチは考えましたか」といった質問を通じて、技術的な判断力を確認していきます。
また、より単純な実装方法についても尋ねることで、基礎的な技術力の確認も行います。優れた回答が返ってきた場合でも、本当にその人の実力なのかを見極めるため、より基本的なアプローチでの実装を依頼することもあります。こういった対話を通じて、その人の持つ技術力や問題解決能力をより正確に評価できるようになりました。
実務により近い環境での評価という観点では、Google検索の利用を認めていることも特徴です。実際の開発でも必要に応じて情報を調べながら進めるのが一般的なので、テスト中の検索も許容しています。大切なのは、必要な情報を適切に取得し、問題解決に活用できる力です。
チーム全体での評価と、グローバル展開での成果
私達自身でツールを理解するために、社内のエンジニア全員でのテスト受験も実施してみました。これにより、評価基準の妥当性が確認できただけでなく、テスト結果が思わしくなかった社員から「もう一度チャレンジしたい」という声が上がるなど、技術力向上へのモチベーションにもつながっています。
採用面でも印象的なケースがありました。2問出題したテストで1問しか解けなかった応募者が、その後自主的に2問目に再挑戦。スキル面接の際に「悔しかったので自分の環境で再度挑戦してみました」と、改めて作成したコードを見せながら説明してくれました。
その積極性と向上心を評価して採用に至りましたが、このように技術力だけでなく、応募者の姿勢も確認できるのが大きなメリットになっています。
予想以上の成果が出ているのが、ベトナムの拠点での活用です。日本以上に積極的に活用していて、2〜3人だったチームが15人規模まで拡大したと聞いています。言語の壁を超えて、客観的な技術力評価ができる点が、グローバル採用での大きな利点となっています。

日本でも最終面接に進む応募者の質はかなり向上している実感があります。ただ、最終面接では取締役も含めて厳しい基準で評価しているため、7名の最終面接に対して1名の採用というのが現在の実績となっています。
今後は評価者の範囲をさらに広げていく計画です。現在は組織全体での採用人数を取りまとめている状態ですが、数年以内には部署ごとの採用へと移行していきたいと考えています。その際、各グループのマネージャーやメンバーも評価に関われる体制を整えていく予定です。
また、現在はコーディングスキルを中心に評価していますが、PM、QA、セキュリティ担当など、様々な職種での活用も検討していきたいですね。特にPMについては、今年の採用目標の一つとして掲げているので、効果的な評価方法を模索しているところです。
